藤井 風さんのこと
2022年、明けましておめでとうございます。
いろいろありまして、1年以上更新していませんでした。
高齢者と同居しているため、やはりコロナが始まってからなかなか旅行やホテルに行くことが難しく、そのほかの要因も相まって、更新ができないままでした。
そしてその1年の間に出会ったのが、「藤井風」さんという方です。
今回は風さんの音楽に出会って思ったことをつらつら書こうと思います。
昨年末、2021年の紅白でのパフォーマンスで一気に認知度が上がったと思いますが、私が出会ったのは2021年明けてすぐの頃でした。
関ジャムという音楽番組で2020年ベストテンという企画があり、
音楽関係者がその年のベストテンの楽曲をそれぞれ発表するという内容だったのですが、その時出演していたいしわたり淳司さん、蔦谷好位置さん、そしてゲスの極み乙女の川谷絵音さん3人ともが、藤井風さんの楽曲をランキングに入れていたのです。
特に、川谷絵音さんは「罪の香り」を1位にあげ、「自分では思いつかないコード進行と歌詞で、歌詞良し、曲良し、歌唱良し、非の打ち所がない。こんな人観たことない。」という感じで絶賛していて、当時まだリリースしたばかりの「青春病」に関しても、3人とも高く評価してたのを目の当たりにして、これだけ評価される「藤井風」ってどんな感じなんだろう?とチェックし始めたのが、始まりです。
その後は、風沼にハマった皆さんが必ず通る道である、日々公式YOUTUBEチャンネルを漁る日々。
当時まだ私の周りには、知っている人が皆無。
とにかくSNSやらウィキペディアやら見ると、どうやら普段岡山弁らしい。
あとなぜか英語もペラペラ、ピアノのカバーもたくさんやってて、めちゃくちゃうまい、おまけにサックスもエレクトーンもできる。でもデビューまで岡山から一回も出たことない。
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もう何が何だか。これで当時23歳!!?!!?
全貌が明らかになるにつれ、「これは宇多田ヒカルさん以来の衝撃だ!!!」と思いながら、誰にも話せないので、胸に秘めてどっぷり沼に浸かっている日々でした。
宇多田ヒカルさんもそうでしたが、とにかく音楽スキル&人間的素養のあれこれが
実年齢とものすごくギャップがあり、「どうやって育つとそうなるの????」という
感想に終着してしまう感じ。
しかも顔もすごい、ただのイケメンではなく、その時々によって変わる表情・魅せ方も
まるで俳優さんのよう。
なのに普段岡山弁でしゃべる時は、近所のお兄ちゃんみたい。
なんて魅力的な人なんだろう。
でも何より私が惹きつけられたのは、彼の「帰ろう」という楽曲でした。
いろんな動画を漁る中、この動画を始めてみたとき、嗚咽するほど号泣している自分がいました。
私は父とは長年うまくいかないまま突然死に別れた経験があり、
そのことが、どんなに時間を経ても心の奥で黒く重く残ってました。
だけど、この曲を聴いて初めて「許そう」と思ったのです。
それは父に対しても、自分に対しても。
「手放す」というのはこんな感覚だったのか。
私は長い間一体何を握りしめていたんだろう。
そんなことを感じた瞬間、涙が止まらなくなりました。
それまでずーっと心に残していた重しを軽くしてくれたのがこの曲でした。
年下の青年にこんなにも大事なことを音楽を通じて教えてもらうとは。
それから藤井風さんのことは大好きなアーティストであり、尊敬する人になり、
「帰ろう」という曲も、私の人生にとってとても大事な曲になりました。
ただ、正直今でも、なかなか気軽に聞けません。
聞くと泣いてしまうから。
「帰ろう」の動画のコメント欄には、私のように、この曲に触れて、心を揺さぶられたたくさんの方の「生きること」と「死ぬこと」が書き込まれていて、それを読むだけでも、言葉にならない感情を抱くことがあります。
「生きるって簡単ではないし、死ぬことは悲しいことではない。」
顔も知らない皆さんのコメント欄で学んだことです。
「帰ろう」以外の彼の楽曲もまた、どれも素晴らしいと思います。
作詞・作曲・歌唱・演奏技術・・・どこを切り取っても。
でも、一番素敵なのは、「一人の人間としてどう生きていくか」を懸命にもがきながら
自問している姿が楽曲の端々にまで息づいていることだと思います。
藤井さん自身、デビュー前もデビューしてからもただ好きな音楽をやるだけではどうにもならないこともたくさんあったと思います。
それでも「HELP EVER HURT NEVER」というファーストアルバムのタイトルにもなった、お父様から教えられた言葉を胸に秘め日々努力を絶やさない。
それは一朝一夕にできることではありません。
楽曲だけでなく、普段のインタビュー動画を見ても、そこには彼の強い意志が感じられます。
もしかしたら、私自身がそこまで真剣に、純粋に、真っすぐに自分の人生を生きている人と初めて出会ったのかもしれない。
「帰ろう」の最後は、
「さぁ、今日からどう生きて行こう」
という歌詞で締めくくられています。
答えはまだ全然出てないです。でも、彼の音楽に出会えたおかげで、あの頃の私より少しずつ自分の人生に真剣に向き合っていけるようになった気がします。
ありがとう、風さん。
これからもずっと応援してます。